2017年4月18日、日本陸連は東京オリンピック2020マラソン日本代表の選考方針について男女それぞれ3枠中の2枠を新設するMGCで代表選手を決めると発表しました。
「MGC」とはいったいどんなものなのでしょうか?
今回は2020年東京五輪のマラソン代表の新しい選考方針であるMGCについて、また従来の代表選考方法とどう違うかなどについて調べてまとめました。
MGCレースとは?
MGCレースとは、正式には「マラソングランドチャンピオンレース」といいます。
従来の方式とは異なった新しい方式で2020年の東京五輪のマラソン日本代表を決めるレースです。開催は2019年9月以降に本番と近いコースが予定されています。
現在、マラソンの日本代表はそれぞれ3枠ありますが、このうち2枠がこのレースの結果のみで決まります。優勝者は無条件で内定、もう1枠は2、3位のうち“MGCレース派遣設定記録”を突破した最上位者が内定します。
MGCレース派遣設定記録については下のように発表されました。
〇記録:(男子)2時間05分30秒、(女子)2時間21分00秒
〇有効期間:2017年8月1日~2019年4月30日
〇対象競技会:国際陸上競技連盟が世界記録を公認する競技会
最後の1枠はMGCレース後に行われる「MGCファイナルチャレンジ」によって内定します。それぞれについて詳しく説明します。
東京五輪2020 マラソン代表選考方針とは
日本陸連が発表した今回の編成方針は“本大会でのメダル獲得を目指し、最大限モテる力を発揮する「調整能力」と世界と戦う「スピード」を有する競技者から日本代表を編成する”とあります。
その大きな改革でもあるMGCレースは、2017年度と2018年度に開催される以下の国内指定選考会「MGCシリーズ」で下の条件を満たした選手に出場資格が与えられます。
【男子】
・福岡国際マラソン
・東京マラソン
・びわ湖毎日マラソン
・別府大分毎日マラソン
・北海道マラソン
【女子】
・さいたま国際マラソン
・大阪国際女子マラソン
・名古屋ウィメンズマラソン
・北海道マラソン
上の選考会のうち、どれもそれぞれ指定された日本人順位以内であることと、記録も指定された時間内であることが条件となっています。
これ以外にワイルドカード枠も設けられており、下のような条件になっています。
〇「国際陸上競技連盟が世界記録を公認する競技会」(2017年8月1日~2019年4月30日まで)で、①・②のいずれかを満たす
①男子2時間08分30秒以内、女子2時間24分00秒以内
②期間内の上位2つの記録の平均が、男子2時間11分00秒以内、女子2時間28分00秒以内
〇2017年ロンドンで開催される「第16回世界陸上競技選手権大会」8位入賞者
〇2018年ジャカルタで開催される「第18回アジア競技大会」3位入賞者
〇MGCシリーズの各大会において、天候などによりMGCレースへの出場資格条件を1名も満たさなかった場合、強化委員会が出場資格相当と判断した選手
以上がMGCレースへの出場資格条件と選考対象となる大会です。
上記の通り、このMGCレースによって男女とも3枠中2枠が内定します。残り1枠は「MGCファイナルチャレンジ」によって内定します。これも対象となる選考会は決まっており、2019年度の下記の大会です。
【男子】
・福岡国際マラソン
・東京マラソン
・びわ湖毎日マラソン
【女子】
・さいたま国際マラソン
・大阪国際女子マラソン
・名古屋ウィメンズマラソン
まず条件として、
・MGCシリーズに出場して完走していること
・MGCレースの出場資格を持っていること
が前提です。そして、これらの大会での指定された記録を突破した最上位者が対象となります。
もし、MGCファイナルチャレンジの選考基準を満たす選手がいない場合は、MGCレースにおいて未内定の2位、3位の選手が選ばれます。
この新しい方式では、最低でも2つの大会で指定された記録内であるという結果を出す必要があり、安定した調整能力を持つことが重視されているそうです。
瀬古利彦・マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは読売新聞の取材に対して、「残された期日は3年しかない。目標に向けて突っ走ってもらいたい」と答えています。
では、従来の選考方法とはどう違うのかについて次で説明します。
これまでの選考方法との違い
これまでの選考方法との違いを比較するために、リオ五輪におけるマラソンの日本代表が決まるまでの例を出すと下のような選考基準でした。
マラソン枠は男女ともに3枠ずつでした。
①2015年北京で開催された「第15回世界陸上競技選手権大会」で8位入賞者のうち最上位が1枠
②以下の3つの選考レースでそれぞれ日本人上位3名のうち、日本陸連が指定した派遣設定記録(2時間06分30秒)を突破した者を優先的に選出して2枠・福岡国際マラソン(2015年12月)
・東京マラソン(2016年2月)
・びわ湖毎日マラソン(2016年3月)※各レースの記録や順位、気象条件、レース展開なども考慮に入れて五輪で活躍が期待される選手を選出。
男子の場合は①の条件を満たす選手がいなかったため、②の条件で3枠を争いました。
①2015年北京で開催された「第15回世界陸上競技選手権大会」で8位入賞者のうち最上位が1枠
②以下の3つの選考レースでそれぞれ日本人上位3名のうち、日本陸連が指定した派遣設定記録(2時間22分30秒)を突破した者を優先的に選出して2枠・さいたま国際マラソン(2015年11月)
・大阪国際女子マラソン(2016年1月)
・名古屋ウィメンズマラソン(2016年3月)女子の場合は①で7位入賞となった伊藤選手が内定したので、残り2枠を②の条件で争いました。
福士選手が大阪国際女子マラソンで好成績で1位となりましたが、上のような条件であったため内定が即出なかったことから、3月の名古屋ウィメンズマラソンにもエントリーするなどして話題となりました。
昔も五輪のマラソン日本代表の選考を1レースの一発選考で行っていたこともあったそうですが、1980年代半ばから複数の競技会が選考対象となり選考基準も複雑かつあいまいな部分が生じていました。
近年では選考方法についてオリンピック前に議論の的となることも多くありました。
新しい方式では3枠中2枠がMGCレースの結果で内定されるので、従来マラソン代表が内定されるまで時間がかかったことを考えると非常にわかりやすくなったのではないでしょうか。
また従来、選手は代表に選ばれるために立て続けに大きな大会に出て挑戦することもあり、五輪の本大会へ向けての調整としてもハンデがありました。
それら今まで問題となっていた点の解消、選手の負担軽減になるような明確な基準にしたのが今回のMGCレース新設ではないでしょうか。
まとめ
かつてはお家芸ともいわれたマラソンも女子のアテネ大会(2004年)以来メダルを逃しています。マラソンは記録だけでなく、それを安定して出す調整能力も必要です。また、選手が五輪に向けて万全の調整ができるよう新方式の採用となったようです。
ぜひMGCレースで選ばれた力のある選手に、2020年の東京五輪では金メダルを獲得して欲しいですね。
以上、「マラソン代表の選考方法、MGCレースとは?これまでとの違い(東京五輪2020)」でした。
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