今回は、東京オリンピック2020の空手競技の日程と会場、ルールや歴史についてご紹介します。
2016年8月に空手が2020年東京オリンピックの追加種目になったと発表されました。
同じ日本生まれの武道で既にオリンピック競技となっている柔道に比べると、空手の競技種目やルールについてはご存知ないという方も多いかも知れません。
東京オリンピック2020 空手の日程・会場
開催日程:8月6日(木)~8月8日(土)
※男女、同じ日程となっております。
8月6日(木) | 10:00 - 14:35 ・女子形予選 ・女子形ランキングラウンド ・男子組手67 kg級予選17:00-21:15 ・女子組手55 kg級予選 ・女子形3位決定戦 ・女子形決勝 ・女子形表彰式 ・男子組手67 kg級準決勝 ・女子組手55 kg級準決勝 ・男子組手67 kg級決勝 ・女子組手55 kg級決勝 ・男子組手67 kg級表彰式 ・女子組手55 kg級表彰式 |
8月7日(金) | 準決勝/決勝 10:00 - 14:35 ・男子形予選 ・男子形ランキングラウンド ・女子組手61 kg級予選17:00 - 21:15 ・男子組手75 kg級予選 ・男子形3位決定戦 ・男子形決勝 ・男子形表彰式 ・女子組手61 kg級準決勝 ・男子組手75 kg級準決勝 ・女子組手61 kg級決勝 ・男子組手75 kg級決勝 ・女子組手61 kg級表彰式 ・男子組手75 kg級表彰式 |
8月8日(土) | 準決勝/決勝 14:00 - 20:15 ・女子組手61 kg超級予選 ・男子組手75 kg超級予選 ・女子組手61 kg超級準決勝 ・男子組手75 kg超級準決勝 ・女子組手61 kg超級決勝 ・男子組手75 kg超級決勝 ・女子組手61 kg超級表彰式 ・男子組手75 kg超級表彰式 |
会場:日本武道館
所在地:東京都千代田区北の丸公園2番3号 北の丸公園内
日本武道館は1964年東京オリンピックの柔道競技会場として建設され、オリンピックレガシー施設の1つです。
「日本武道の聖地」とされ、柔道・空手道・剣道・弓道などの稽古場や競技場として活用されています。また、1966年のビートルズをはじめ、さまざまなアーティストやグループがコンサートを行っているほか、格闘技の興行、大学の入学式・卒業式、企業の株主総会など幅広く利用されています。
空手のルール
2020年の東京オリンピックで採用された空手の競技は組手と形です。
組手には、寸止め(伝統派空手)・フルコンタクト・防具付き空手がありますが、採用されたのは寸止めです。寸止めとはいっても、技が攻撃部位に当たる寸前、または軽度の接触で技をコントールすることが認められています。技によってポイントがつきます。
形は世界空手連盟(WKF)が定めた形の中から選択して演武します。
空手のオリンピック競技採用は初めてのため、形競技の採点方式では検討中のものがあるようです。ここでは、WKFの直轄団体である全日本空手道連盟(JKF)で採用されているルールをご紹介します。
【組手競技】
組手競技では、相対する選手が実際に技の攻防を行い、技のポイント制による得点を競います。
空手はスポーツである、という考えから危険とされる技は禁止されています。
全ての技はコントロールされている必要があり、頭部・顔面・頸部・股間・関節への攻撃は負傷させやすく、もし相手を負傷させた場合は故意でなくとも罰則が与えられます。投げ技も認められています。
10セカンドルールがあり、これは組手選手がノックダウンまたは投げられる、自ら倒れて10秒間で立ち上がれない場合に当該選手は棄権と見なされます。
・体重別による階級:世界大会では男女それぞれ5階級制となっています。
・得点の呼称:一本(3ポイント)、技あり(2ポイント)、有効(1ポイント)
・競技コート:8m×8m(内側1mに警告エリア、各辺2mの安全域)
・競技時間:男子3分、女子2分
・勝敗の決定方法:
1.競技時間内に8ポイント差をつけた選手を勝ちとする
2.棄権・反則・失格があった場合、その対戦選手を勝ちとする
3.競技時間の終了時に取得したポイントが多い選手を勝ちとする
4.競技時間の終了時に同点の場合は判定によって勝ちを決める
※個人戦の場合は1分間の延長戦があります
【形競技】
オリンピックでは世界空手連盟(WKF)が定めた形(約75種類)の中から選択して、突き・蹴りの力強さや練度・正確さ・緩急とともに「演武する形」の持つ意味への理解など総合的に競います。
トーナメントの場合、1回戦から決勝戦まで全て異なる形を演武します。
・形競技の構成(流派による指定形):
空手は流派がいくつもあり、それぞれ形は異なります。組手はポイントを奪い合うので流派の違いは関係ありませんが、形は試合で使う形が流派によって異なります。
現在、松濤館流・和道流・糸東流・剛柔流が四大流派で、それぞれ「第一指定形」と「第二指定形」が下のように定められています。
ここに含まれていない形は自由形となります。
〇第一指定形
和道流 セイシャン・チントウ
糸東流 セイエンチン・バッサイ(大)
剛柔流 セーパイ・サイファ
〇第二指定形
和道流 ニーセーシー・クーシャンクー
糸東流 マツムラローハイ・ニーパイポ
剛柔流 クルルンファ・セイサン
競技で第一指定形の指定がある場合、選手は所属する流派の第一指定形のものから選び演武することになります。それ以外の形を演武してしまうと失格になります。
・競技コート:平坦で演武が十分にできる広さであること、組手マットが適しています
・競技と勝敗の決定方法
2人の選手が赤と青に分かれ順番に演武を披露します。
演武の前には方の名称を申告してから始めます。
5人の審判員の旗表示(赤・青)の数が多い方を勝ちとします。
しかし、より一層勝敗をわかりやすくするため、2020年東京オリンピックでは、5人の審判員が上げた得点を合計する、採点方式も検討されています。
空手の歴史
空手は現在の沖縄県、琉球王国時代に発祥した拳足による打撃技を特徴とする武道です。しかし、年代については15世紀頃という説がありますが詳細は不明です。
また、起源について一般には沖縄古来の武術「手(てぃー)」が、琉球王国と貿易のあった中国から伝わった中国拳法の影響を受けて融合し、19世紀頃に「唐手(とぅーでぃー)」(※唐は中国を指す)となったと考えられていますが、これも諸説あります。
なぜこのように発祥年代や起源について不明であり諸説あるのかというと、それは唐手が琉球士族の間で一子相伝の秘術として伝承されてきた背景があります。文献も残されていません。
琉球王国は江戸時代、薩摩藩の下で存続していましたが、1879年(明治12)明治政府の政策によって滅亡し、琉球士族の多くが没落したために唐手も伝承の危機を迎えました。
この危機を救ったのが士族であった糸洲安恒(いとす あんこう)です。糸洲により、1901年(明治34)沖縄の尋常小学校の体育の授業として取り入れられたことをきっかけとして、広く一般に普及していきました。その際、唐手の読み方も「からて」に改められました。また、糸洲によって新しい形の創作、既存の形から危険な技を取り除く改良がされました。
沖縄から本土へと唐手が広まったのは大正時代の後半からです。松濤館流の事実上の開祖である富名腰義珍(ふなこし ぎちん ※後、船越に改名)が本土で初めて空手を本格的に指導し、空手書の出版も行いました。
また、本部朝基(もとぶ ちょうき)が京都で行われたボクシング対柔道の興業試合に飛び入り参戦し、ロシア人ボクサーを一撃で倒したことによって全国的に唐手の名前が知れ渡るようになったと言われています。
1929年(昭和4)に船越が師範を務めていた慶應義塾大学唐手研究会が般若心経の「空」の概念から唐手を空手に改めると発表したことをきっかけとして、本土では空手の表記が急速に広まりました。
1933年(昭和8)には空手は日本の武道として正式に認められました。この時、「柔道・柔術」の一部門とされました。
唐手としては棒術やヌンチャクなどの武器術もありましたが、柔道の分類下におかれたこともあって取り除かれています。また、沖縄からの組手が十分に伝承されておらず、本土で新しく組手を創作して現在の空手となりました。
空手の初期において、徒手格闘としての競技化が試みられたことから防具付き空手が研究されました。第二次世界大戦前までは、防具着用による直接打撃の空手が主流でした。
戦後、本土では空手のスポーツ競技化が進み1954年(昭和29)「第1回全国空手道選手権大会」が防具付きルールによって開催されました。しかし、当時の防具は安全性に不安があったため、危険度が高く普及するにはリスクがあったようです。
このような状況の中、柘植大学空手道部などが中心となり、「寸止めルール」を考案します。防具を使わず、当たる寸前に技を止めることによって安全性を高めたこのルールは、老若男女問わず取り組みやすいことから多くの流派で採用されていきました。
現在、空手は世界187カ国で普及しており、競技人口は約6,000万人と言われています。空手の海外普及は戦前からありましたが、1965年(昭和40)頃からは海外に渡って指導する空手家も増えていきました。
1957年(昭和32)には「第1回全日本学生空手道選手権大会」が寸止めルールによって開催されています。
1964年(昭和39)、四大流派(松濤館流・和道流・糸東流・剛柔流)とそれ以外の諸派による連合会、防具付き諸派による錬武会からなる全日本空手道連盟(JKF)が結成されました
1969年(昭和44)、全日本空手道連盟によって寸止めによるポイント制ルールの「全日本空手道選手権大会」が開催されました。
1979年(昭和54)から国体の正式種目となっています。
1970年(昭和45)に第1回世界選手権大会が開催され、1994年(平成6)にはアジア大会からは正式種目として採用されています。
1999年には世界空手連盟(WKF)がIOC公認団体として認定されました。
まとめ
空手は沖縄発祥の武道であり、2020年東京オリンピックで採用された空手は日本本土で発展してきました。組手、形ともに突き・蹴りの力強さやスピード、それらをコントロールしている姿に見ていると惹き付けられるスポーツです。空手を見たことない、という方もオリンピックを機会に空手の観戦をしてみてはいかがでしょうか。
Yoshida
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