2020年の東京オリンピックの開催に向け期待が高まるとともに、その準備に向けての競技施設の建設やインフラ整備などによる経済効果も注目されています。
今回は、東京オリンピックの経済効果、そしてどんなメリットやデメリットがあるのかを具体例をあげてご紹介します。
東京オリンピック2020の経済効果
2015年3月にみずほ総合研究所が発表した試算によると、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの経済効果は2015年から2020年までの累計で約30兆円となっています。
これのおおよその内訳は、競技施設や選手村などの建設投資、大会運営支出などの「直接的効果」が約1.3兆円、オリンピックに伴う都市インフラ整備や海外からの観光客の増加による観光需要の増大などの「付随的効果」が約27.7兆円です。
つまり、東京オリンピック開催の経済効果としては、直接的なものより付随的なものの効果の方が圧倒的に多いのです。
しかもこの約30兆円の経済効果という試算は、全てうまくいった過程でのものなので、必ずしもこれだけの額の効果があると保証されているものではありません。
また、東京オリンピックの経済効果は、「開催前」「開催中」「開催後」の3つの時期に分けて考えられます。
この中で「開催前」に見込まれる経済効果のうち、もっとも金額が大きくなる可能性があるのは、首都圏の都市インフラ整備や民間企業による設備投資の活性化などによる投資の拡大効果だと考えられています。
特に道路・鉄道・空港などの交通インフラの整備が進むことに期待が強く、また“インバウンド”といわれる訪日外国旅行客も更に多く訪れる見込みから、首都圏での飲食店・宿泊施設の新設やリニューアルなどで投資が活性されると期待されています。
東京オリンピック経済的メリット具体例
東京オリンピック開催による経済効果の具体的な例をご紹介します。
【雇用増加】
まず、「直接的効果」の中で開催前は競技施設の建設などによる投資増加と建設業の雇用増加があげられます。開催中は観戦客の支出やオリンピック関連商品の支出などによるものが見込めるでしょう。
また、飲食業・サービス業の雇用は国内だけでなく訪日外客数の増加にともなって、開催前から増え、開催期間中は一時雇用という形でさらに数が増えると思われます。
【設備投資】
経済効果の多くを占める「付随的効果」は、公共施設の耐震化、バリアフリー化、交通インフラなどの公共インフラ整備とホテルや商業施設のリニューアル等による民間投資の活性化などが開催前に見込まれています。
訪日外国人客数は、2020年に2,000万人を目標としていましたが、2016年ですでに2,403万9千人(前年比21.8%増)となったと日本政府観光局から発表され目標は達成されました。これはオリンピック開催前の経済効果が現れているといえます。
現在では、2020年までに倍の4,000万人を目標にしていますので、サービス業・小売業・運輸業はさらに効果が見込めそうです。
さらに、オリンピックの開催が決まったことでイメージアップと国としての信用が高まり、株価・地価が上昇することによって資産効果もあるでしょう。
東京オリンピックのデメリット具体例
では、東京オリンピック開催はメリットばかりかというと、気になるデメリットな点もいくつかありますのでご紹介します。
【開催費用】
なんといっても、東京オリンピックの開催費用が莫大にかかるという点です。
当初は費用面でも「コンパクトな五輪」にすると言っていましたが、実際には予算は膨らみ続けています。経済効果のメリットが多大に見込まれても、東京都民や国民が払う税金の負担が増えてしまっては全体的な消費が落ち込む可能性はあります。
【首都圏と地方の格差】
また、東京オリンピック開催までそれに関連した公共インフラ整備や大会施設の建設・投資などが重視されると、首都圏に集中して地方との格差が広がってしまうというデメリットも考えられます。
具体的には、建設資材や人材もオリンピックの準備に優先されてしまい、東日本大震災からの東北復興のスピードが鈍化するのではと懸念されています。
【開催後の景気落ち込み】
最後に、これはオリンピックを開催した多くの都市が抱える問題として、オリンピック開催後の景気が落ち込んでいるということがあげられます。最近の夏季オリンピックを開催した8都市のうち景気が落ち込んでいないのは、アトランタ(アメリカ)とロンドン(イギリス)だけのようです。
前倒しの開発や投資、消費の反動だけでなく、競技施設が売却するところもありますが、うまくいかなければ維持費運営費などが関係してきます。
建設やサービス業などの雇用増加も、継続的に訪日外客数が維持かそれ以上でなければ、減少してしまいがちになります。
まとめ
オリンピックは開催されることによって経済効果もあり、さまざまなメリットとデメリットもあります。デメリットについては、開催後に東京をどのような都市としてさらに発展させていくのかという観点を、開催前から持って臨む必要があると思います。
国内外の誰もが楽しめる東京オリンピックになるといいですね。
以上、「東京オリンピック2020 経済効果で見るメリット、デメリットを具体例で紹介」でした。
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